ミティラーとの出逢い

『ミティラー民俗画展』
『ミティラー民俗画展』

 2007年私は3浪して多摩美術大学の版画科に入学した。3年目美大に受からなかったら、1人島に旅立ち暮らすという選択肢も人生にはある。これが最後の受験になるであろうと思い受験会場へ向かった。結果、大学に運良く受かり、安堵はしたが身体は疲れ切っていた。と同時に、受験から開放され自分の好きな絵を自由に描ける喜びは計り知れなかった。

 大学生活も始まり片道2時間という通学はしんどかった。毎日電車の中で前に座った人の顔を描いていた。お陰で人物画は苦手であったが、すっかり好きになった。乗り換え駅に大きなブックオフを見つけた。たまに資料になるものはないかと行く様になった。そこで私は生まれて初めて「ミティラー絵画」に出会ったのだ。-母から娘へ伝承されて3000年、壁に描かれた神々のコスモロジー-『ミティラー民俗画展』という1冊の本に私は心ときめき、驚いた。